心が粉々に砕ける時
旦那の単身赴任先に遊びに行くのにかこつけて、また彼に会えないかと再度画策を始めた私、まずは電車のチケットを取り、大まかにアパートの滞在スケジュールを決めました。
ちなみに旦那との時間については、旦那は息子と二人で過ごすのも何ら問題ないというか、むしろ楽しんで過ごせる人なので、家族で過ごしたり出かけたりする時間もちゃんとあれば、1日位は息子は旦那に任せて私一人で好きに出かける、という事ができる家族でした。
元々私は自分が行きたい場所なら、家族皆で行くか、他の家族が興味がない場所なら私一人ででもさくっと出かける、という性分でした。
これは映画でもコンサートでもスポーツ観戦でも何でもそうで、昔から他に行きたい人が一緒にいなくても、自分一人でどこにでも興味のある・行きたい所には行く、そういう元祖「おひとりさま」な人間でした。
という訳で、自分一人で出かけられる時間を旦那了承の元、スケジュールを確保しました。
そして…いよいよ再度、ドキドキしながら、彼に誘いのメールをしました。
「今度の連休に、そちら方面に行く事になりました。
普段は息子とずっと二人で過ごしているので、息子を旦那に預けて出かけたりもしようかなと思います。
そこで…○日って空いてますか? もし空いてたら、良かったら一緒にご飯でもどうかと思って。」
というような感じのメールを送りました。
そして…彼からどんな返信がくるかとドキドキしながら待っていました。
もしかしたら予定があってダメかな、どうかな…と思いながら。
そして…ついに彼からの返信メールが来ました。
ドキドキしながら読み始めた内容は…こんな返事でした。
「その日は早朝から予定があって、その後はゆっくり休みたいんです。翌日も仕事なので。
それに…もしその日はその予定がなかったとしても、あなたと二人で会うことはありません。二人じゃなくて、息子さんと一緒だとしてもです。
あなたが羽を伸ばしたい気持ちもわかりますが、もっと家族の時間を大事にして下さい。
過去に家庭を壊した自分が偉そうな事は言えないけど、ご理解頂ければ…。」
…このメールを読んだ時に、目の前が真っ暗になり、どん底に突き落とされた気分になりました。
ああ、これまで良い関係を築いていたのに、私が自分の欲に勝てずに無理に誘ったからだ、もう彼に嫌われてしまう…。
どうしよう、どうしよう、どうしよう…!!
それでも、彼とは僅かでも繋がりだけは無くしたくなかったので、私は彼に、すがるような気持ちで返信メールを送ったのでした。
「無理言ってごめんなさい。もう二度と会って欲しいなんて言いません。
でも…せめてメールのやり取りだけは今まで通り続けさせて下さい。」
…と。半ば懇願するような、祈るような気持ちでメールを送りました。
でも…今までは毎日のように来ていた彼からのメールがピタッと止まってしまったのです。丸1日は来ませんでした。
もう、私は彼に完全に避けられてしまったんだ…と思い、この時は心が粉々に砕け散り、絶望のような気持ちを抱えた1日を送っていました。
彼とのやり取りができない事が、こんなにも辛いものだったなんて…。
こんな事なら、彼と出逢わなければ良かった、私の残りの人生と生活はもうこの先色のない淡々としたものになっていくんだ…。
そう感じてしまう位でした。
でも…2日程経ってから彼から返信が来ました。
「特別怒っている訳でも、嫌な気分になってる訳でもなくて、単に仕事が忙しくなってしまったんです。それにこの間、旅行に行って帰ってきてからあまり体調がすぐれなくて…。
また落ち着いたらメールしますね。すみません。」
との内容でした。
これで私の気持ちがどれだけ救われた事か…。
この時は本気で、
「もう彼と会えなくてもいい。彼とこうしてやり取りできて繋がってさえいられれば…」
と思いました。
そして彼の気持ちと体調を考え、次に彼からメールが来るのをゆっくり待とう…と思えたんです。
でも、旦那の元に行くスケジュールは立ててしまった後だったので、連休の予定そのものは変える事はありませんでした。
ただ、彼と会おうと思っていたこの一人の時間、ここだけは無駄にせず、自分にとって有意義に過ごしたいと思い、行く先の地の友人に連絡を取って「久しぶりに会えないかな?」とメールをしました。
実は旦那の単身赴任先であり、彼が住んでいる地域は、かつて私が10年程住んでいた地でもあったのです。
私が今住んでいる地は旦那の生まれ故郷で、私が旦那と知り合ったのはかつて私が10年住んでいた地でした。
つまり、私は旦那のUターンについて来て今の地に住む事になったのでした。
という訳で、10年も住んでいれば元々この地には私の友人や仕事関係の仲間など、数多くの知り合いがいたのです。
だから彼以外にも、スケジュールさえ合えば会おうと思えばいくらでも会える友人が私にはいました(笑)。
せっかくの一人時間、彼と会えないなら旧交を温める時間にしようと思ったのです。
私が連絡を取ったのは、趣味を通して知り合った同い年の親しい男友達でした。
この男友達は顔が広く、この彼に声をかければ同じ趣味で知り合った他の友人達にも会えるかな、と思ったのです。
結果、それは正解で、この男友達が色々手配してくれ、私を含めて4人で集まり、楽しい再会の時間を過ごす事が出来ました。
しかも驚く事に、この再会メンバー4人の組合せは私とこの男友達の他は1組の夫婦で、夫婦の夫側が元々私とは友人で奥様側は私と初対面なのに、奥様は私が今住んでいる地で趣味を通じて知り合ったママ友さんと元同級生という間柄の方でした!
遠く離れた地なのに、人の縁って不思議だなぁ…とこの時改めて思いました。
こうして今考えてみると、彼と会えなくなった時間を別の大切な時間に使う事ができて、この時間ももしかして用意された必要な時間だったのかな…と思います。